天文現象・ライブ配信

2021年9月21日 中秋の名月

中秋の名月を見よう

今年の中秋の名月は2021年9月21日です。日本では古くから中秋の名月を愛でるお月見の風習があります。今年の中秋の名月は8年ぶりに満月です。晴れていたらぜひ、月を見上げてみませんか?
科学館では当日9月21日に天文台の望遠鏡によるライブ配信をする予定です。空を見上げて月を見ながら、望遠鏡で見た月の様子も同時に楽しめる、ちょっと特別なお月見をお楽しみください。

天文台特別ライブ配信「中秋の名月」※配信は終了しました。
【配信日時】 2021年9月21日(火) 19:30~20:30
※天候によっては月がご覧いただけなかったり、画像の更新が止まったりする場合があります。雨天時は中止します。
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中秋の名月とは?

中秋の名月とは、旧暦(※)8月15日の夜に見える月のことを指します。8月に限らず、旧暦15日の夕方に出る月のことを「十五夜」といいますが、単に「十五夜」と呼ぶときには、中秋の名月のことを指す場合が多いようです。旧暦では7月・8月・9月が秋だったため、8月15日はちょうど秋の真ん中という意味で「中秋」といいます。同じ読み方で「仲秋」がありますが、こちらは旧暦8月全体のことを指すので「仲秋の名月」とはいいません。
お月見、観月の風習は、中国から9世紀頃(平安時代)に伝わったとされています。直接月を見るだけではなく、景色と合わせて、池に映してなど、風情のある楽しみ方が古来よりなされてきました。
中秋の名月は、農業の行事と結びつき、「芋名月」と呼ばれることもあります。
※旧暦…このページでは「太陰太陽暦」のことを指します。明治5年まで日本で使われていた暦で、月の満ち欠けを元に日付が決められていました。現在は、太陽の動き(=季節変化)をもとにした「太陽暦」が使われています。
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中秋の名月は満月とは限らない?

今年の中秋の名月は満月と同じ日ですが、実は、中秋の名月と満月の日付がずれることは、しばしば起こります(例えば、2024年は、中秋の名月が9月17日、満月が9月18日と日付がずれます)。これには以下の理由があります。
・中秋の名月が旧暦の日付により8月1日から数えて15日目の夕方の月、と決まるのに対して、満月(望)は太陽、地球、月の位置関係で決まり、必ずしも満月の瞬間が新月から数えて15日目になるとは限らない
・月の公転軌道が楕円形であり、新月(朔)から満月(望)までにかかる日数が13.9日から15.6日と大きく変化する
月の公転周期の半分は14.8日なので、新月から満月までにかかる日数はおよそ15日ほど、中秋の名月は新月から14日後の月のため、中秋の名月の翌日や翌々日になる場合があります。今年は、2013年以来8年ぶりの満月となります。
月の満ち欠け
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秋はお月見の季節!

秋というとお月見のイメージがありますが、秋は、月が美しく見える季節と言われています。空気が澄んでいるので月がくっきりときれいに見えることや月の昇る高さがちょうどよいことなどが理由として挙げられます。図1のように、夏の満月は空の低いところを通り、冬の満月は空の高いところを通ります。月は、大気の散乱により空の低いところにあるときはオレンジ色っぽく見え、だんだんと黄色、空の高いところにあるときは白っぽく、色が変わって見えます。夏は、なかなか昇っていかないので色の変化が遅く、冬はあっという間に変化してしまうので、春や秋はちょうど良いのです。
また、月の昇る時刻は一日で平均で50分遅くなっていきますが、中秋の名月の頃は、月の昇ってくる時刻が大きく変化しません(表1)。十五夜を過ぎても、月が昇るのを待つ時間がそれほど遅くならないのもお月見しやすい理由のひとつなのかもしれません。昔の日本人は、十五夜を過ぎ、日ごとに月が昇る時刻が遅れていくのに合わせて、立って待つ、座って待つなど、月の出を待つことを楽しんでいました。月を待つ様子からそれぞれ呼び名がついています(表2)。
(図1)季節による満月の見える高さの違い
満月の通り道
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(表1)時刻による月の出の時刻の違い(2013年、東経135度北緯35度の場合)
月名
十五夜17時14分18時59分17時41分
十六夜 (いざよい)18時18分19時55分18時18分
十七夜 (立待月)19時23分20時45分18時54分
十八夜 (居待月)20時30分21時28分19時33分
十九夜 (寝待月)21時37分22時07分20時13分
二十夜 (更待月)22時43分22時43分20時56分

国立天文台暦計算室 提供

 
(表2)月の呼び名
月名 呼び名 意味・由来
十五夜(中秋の名月) 新月から数えて(新月を1日目として)15日目の月。特に旧暦8月15日の月を指すことが多い。
十六夜 いざよい 新月から数えて16日目の月。十五夜より月の出がやや遅くなり、ためらうように昇ってくるので「いざよう(ためらうという意味)」から。
十七夜 立待月(たちまちづき) 新月から数えて17日目の月。月の出がさらに遅くなり、立ちながら待つうちに出てくる月。
十八夜居待月(いまちづき) 新月から数えて18日目の月。月の出がさらに遅くなり、座し居て待つ(座って待つ)。
十九夜寝待月(ねまちづき)/臥待月(ふしまちづき) 新月から数えて19日目の月。月の出がさらに遅くなり、寝て待つ(臥して待つ)。
二十夜更待月(ふけまちづき) 新月から数えて20日目の月。月の出がさらに遅くなり、夜更けを待つ。

月の模様は何に見える?

月は、自転周期と公転周期が同じため、地球にいつも同じ面を向けています。地球から見るといつも同じ面が見え、月の裏側は見ることはできません。月の表側は、うす暗く(黒っぽく)見えるところと、明るく(白っぽく)見えるところがあります。日本では古くから、月の黒っぽく見える模様をうさぎが餅つきをしている様子にたとえています。日本だけではなく、世界の他の地域でも、月を眺めて模様を生き物などにたとえる文化があります。
うさぎの餅つき かに
横顔 ろば
わに 本を読む人
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ライブ配信で名月を楽しもう!

月は明るいため、望遠鏡や双眼鏡がなくても見ることができますが、望遠鏡を使うとさらに表面の様子をよく見ることができるようになります。月の表面のうす暗く見えているところは「海」と呼ばれています。アポロ11号が着陸したのが「静かの海」というところです。明るい白っぽいところは「高地」と呼ばれます。表面にたくさんある円形の地形は「クレーター」と呼ばれ、隕石の衝突によってできたとされています。直径20kmをこえる大きなクレーターでは、内側が切り立った壁になり、場合によっては何重もの段丘がつくられています。底は平らで、真ん中にセントラルピーク(中央丘)とよばれる突起をもつクレーターも多くあります。クレーターは、太陽光が斜めから当たっている方が影ができ立体的に見えるので、満月のときよりも欠けているときの方が観察しやすくなります。満月のときは、ティコクレーターなどのクレーターから放射状に伸びる噴出物「光条(こうじょう)」を見ることができます。実際に空を見上げて月を眺めながら、パソコンやスマートフォンから望遠鏡で見た月の様子もお楽しみください!
月面
光条
クレーター
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十五夜と十三夜

旧暦の9月13日の夜を「十三夜」と呼び、十五夜に並ぶ名月として、日本ではその夜にもお月見をする習慣があります。十三夜は、「後(のち)の月」「豆名月」「栗名月」とも呼ばれます。今年の十三夜は、10月18日です。また、十三夜は満月になることはありません。
十三夜については「2021年10月18日 十三夜」のページをご覧ください。

今後の中秋の名月

旧暦をもとにした「中秋の名月」は毎年日にちが変わります。来年、2022年の中秋の名月も満月です。次に中秋の名月が満月でなくなるのは、2024年です。
中秋の名月の日にち(2030年まで)
中秋の名月(十五夜) 満月(望)
2021年 9月21日 9月21日08時55分
2022年 9月10日 9月10日18時59分
2023年 9月29日 9月29日18時58分
2024年 9月17日 9月18日11時34分
2025年 10月6日 10月07日12時48分
2026年 9月25日 9月27日01時49分
2027年 9月15日 9月16日08時03分
2028年 10月3日 10月04日01時25分
2029年 9月22日 9月23日01時29分
2030年 9月12日 9月12日06時18分

国立天文台暦計算室 提供

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