天文台
テレビや映画などで、どんなに美しい景色やおいしそうな食べ物を見たとしても、実際にその場に行くあるいはそれを味わってみるという実体験には決して及びません。これは天文の世界も同じです。
天体を観測することは天文学の基礎です。ただし、天文学の場合は単に実物を見たという感動にとどまりません。手が届かない天体からやってくる唯一のもの、それが光などの電磁波です。この光の中には天体の性質を示す様々な情報が詰まっています。それを取り出すのが天体観測であり、そのための場が天文台なのです。
3つの天文台ドーム
天文台の機器は観測目的によって様々な形式のものに分かれています。川口市立科学館の天文台は主、副、太陽の3つのドームで構成されています。主天文台の口径65cm反射望遠鏡は、その大口径を生かしての星雲や星団観測用。冷却CCDカメラなどを併用して、おもに暗く淡い天体を捕らえるため使われます。
副天文台の口径20cm屈折望遠鏡は、その安定した像を生かして太陽や月・惑星の詳細観測用。おもに明るくはっきりとした天体の様子を観測するために使われます。
太陽天文台の6連式太陽望遠鏡は太陽観測に特化した専用望遠鏡で、刻々と変化する太陽面のダイナミックな姿をリアルタイムで観測することができます。
このように科学館の天文台はそれぞれ機能別に区分けされ、対象天体に合わせての最適な観測ができるように考えられたものなのです。
天文台の仕事
天文台は、公共天文台として土曜日に一般公開するほか、ホームページでの太陽画像のリアルタイム配信、学校などの各種教育機関あるいはメディア等への様々な天文資料の提供、内外関係機関への太陽観測データ提供など、公共天文台として欠かすことのできない資料収集、調査研究活動を継続して行っており、国内でも先進的な役割を担っています。特に太陽天文台では、マグネトグラフという観測機器を開発・導入して黒点磁場の観測を常時行っています。地球の環境に重大な影響を及ぼす太陽の諸現象は皆、太陽磁場の振る舞いに起因していると考えられ、その観測は活動現象の研究にも重要で、多くの太陽研究者からも関心を集めています。