今年2回目の月食は、“ほぼ皆既月食”!?
2021年11月19日、日本全国で部分月食が見られます。5月26日(皆既月食)以来、今年2回目の月食で、今回は月の大部分が地球の影の中に入り込む「たいへん深い」部分月食です。月食は専用の道具がなくても観察することができます。以下の情報を参考に観察してみましょう。
また、科学館では月食当日の11月19日に天文台の望遠鏡によるライブ配信をする予定です。
天文台特別ライブ配信「部分月食Live!」配信は終了しました。観測画像はこちら
【配信日時】 2021年11月19日(金) 17:30~20:00
月の出 16:27 食の最大 18:02 部分食の終わり 19:47 ※詳しい予報についてはこちらをご覧ください。
※天候によっては月食がご覧いただけなかったり、画像の更新が止まったりする場合があります。雨天時は中止します。
観測画像はこちら
月食とは何か?
- 月食とは、太陽光によってできる地球の影に月が入ることにより、月が暗くなったり、欠けたように見えたりする現象です。地球の影には「本影(太陽光がほぼ遮られた濃い影)」と「半影(本影を取り囲む薄い影)」の2種類があり、月が半影の中に入る場合を「半影食」、本影に入る場合を「本影食」といいます。一般に月食と呼ばれるのは本影食で、月の全てが本影に入る「皆既月食」と一部だけが本影に入る「部分月食」があります。
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見られる時刻と月の位置
- 月食当日の川口市の月の出は16時27分です。川口市では、月食の始まりは月が地平線の下にあるため見ることができず、月が欠けた状態で空に昇ってくる「月出帯食(げつしゅつたいしょく)」となります。月が最も欠けて見える食の最大は18時02.9分です。月が欠け終わる部分食の終わりは19時47分です。食の最大時でも月の高度は約17度と低いので、北東~東の空が開けた場所で観察するのがおすすめです。
なお、食の最大時の「食分」は0.978です。食分とは、月が地球の影の中に入り込む程度(影で覆われる月の直径の度合い)を表し、今回は月の直径の約98%が影の中に入り込む「ほぼ皆既月食」の状態となります。
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2021/11/19 部分月食
川口市(埼玉県): Kawaguchi
緯度:35.8078° 経度:139.7242° 標高:0.0 m 標準時:UT+9h
日時 |
方向角[°] |
月[°] |
視半径[″] |
その他 |
年月日 |
時刻 |
北極 |
極頂 |
天頂 |
高度 |
方位 |
半影 |
本影 |
月 |
角距離 |
食分 |
備考 |
2021/11/19 |
16h27.3m |
41 |
-52 |
93 |
-0.2 |
66.5 |
4306 |
2325 |
885 |
2995 |
0.121 |
月の出 |
2021/11/19 |
18h02.9m |
341 |
-57 |
39 |
17.3 |
79.1 |
4305 |
2324 |
885 |
1478 |
0.978 |
食の最大 |
2021/11/19 |
19h47.4m |
279 |
-59 |
338 |
38.0 |
93.0 |
4304 |
2323 |
884 |
3208 |
0.000 |
部分食の終わり |
2021/11/19 |
21h05.5m |
268 |
-56 |
324 |
53.4 |
106.7 |
4304 |
2323 |
884 |
5188 |
0.000 |
半影食の終わり |
国立天文台暦計算室 提供
観察のポイントは月の色
-
今回は、最大食分 0.978という、かなり皆既月食に近い状態となります。観察のポイントは、皆既月食のときのような赤黒い(赤胴色の)月が見られるかどうかです。
部分食の始まりや終わりの頃の食分の小さい状態では、本影に隠された部分(月の一部)が黒く、欠けたように見えるだけですが、
一般に、月全体が本影に隠される皆既中は、月が真っ暗になってしまうわけではなく、実際には赤黒い(赤銅色の)月が見えます。
これは、地球の影の中に、地球大気を通過した赤い光が含まれているためです。下の図のとおり、地球の大気中では、太陽光のうち波長の短い青い光は散乱されてほとんど通過することができません。一方、波長の長い赤い光は散乱されにくく、大気を通過することができます。皆既中に赤黒い月が見られるのは、この通過した赤い光が大気によって屈折して本影に入り込み月を照らすからです。また、大気中のチリの量によって届く光の量が変わるため、見える色が毎回同じではないことが知られています。
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今後見られる月食
- 日本で次に月食が見られるのは、2022年11月8日で、欠け始めから欠け終わりまで全て見られる「皆既月食」です。
月食一覧(2030年まで)
日付 |
月食の種類 |
日本での状況 |
2022年05月16日 |
皆既月食 |
日本で見えない |
2022年11月08日 |
皆既月食 |
日本で見える |
2023年10月29日 |
部分月食 |
日本の一部で見える(月入帯食) |
2024年09月18日 |
部分月食 |
日本で見えない |
2025年03月14日 |
皆既月食 |
日本の一部で部分月食が見える(月出帯食) |
2025年09月08日 |
皆既月食 |
日本で見える |
2026年03月03日 |
皆既月食 |
日本で見える |
2026年08月28日 |
部分月食 |
日本で見えない |
2028年01月12日 |
部分月食 |
日本で見えない |
2028年07月07日 |
部分月食 |
日本で見える(月入帯食) |
2029年01月01日 |
皆既月食 |
日本で見える |
2029年06月26日 |
皆既月食 |
日本で見えない |
2029年12月21日 |
皆既月食 |
日本で見える(月入帯食) |
2030年06月16日 |
部分月食 |
日本で見える(月入帯食) |
国立天文台暦計算室 提供