太陽は平均的な星であるという。この太陽を知ることは数ある星を知ることにつながる。
望遠鏡でとらえた太陽は私たちにさまざまな顔つきを示してくれるが、これからその一端を見ていこう。

太陽が西に傾き、その輝きが弱まったとき、大きな黒点群が太陽面にあれば肉眼でそれを確認できる。
中国などではそれを太陽に住むカラスなどと考えていた。

これは大きな黒点が太陽上にあるときに、ピンホール(木もれ日)を通して白紙に写したものだ。
矢印の先にうっすらと暗い箇所があるがこれが黒点である。

黒点は太陽光球に現れた周囲よりも温度の低い領域であり、温度が低いために光の放射量が少なく
そのため黒く見えている。望遠鏡でその姿を見ると、中心部は特に暗く見え、
ここを暗部、その周りはやや暗く、
こちらは半暗部と呼んでいる。

これは、この黒点と地球の大きさを比較したものである。太陽の直径は地球のおよそ100倍、
そこに現れる黒点がいかに大きいかが分かる。

こちらは小型の黒点群である。半暗部はほとんど見えず、
その大きさは地球よりも小さい。
しかしながら、この黒点はもう一つ、
太陽黒点の特徴をあらわしている。
それはペアになっているという点だ。
黒点は強い磁石の性質を持ち、磁石はよく知られているようにNSの両極性を持つ。
この黒点のペアはおのおのがNもしくはS極の極性を
持つことが磁場を観測することによって分かる。

しかし、太陽にはいつも黒点があるとは限らない。これは2008年5月15日の太陽面だが、ただの一つも黒点群は見えていない。

こちらは2003年5月の太陽面。太陽上には多くの黒点群が見えている。
実は太陽はその活動度が時により異なり、およそ11年の周期で黒点数が増えたり減ったりするのだ。
黒点が多い時期は、同時に、現れる黒点の規模も大きく非常に複雑な形状の黒点も出現する。

巨大な黒点群 その1

巨大な黒点群 その2

そして、このように複雑で大きな黒点群が現れているときには、しばしばその黒点群近傍で
フレアと呼ばれる活動現象が発生するときがある。
これは水素原子の出す光だけを通す特殊なフィルターで太陽面を見たものである。
中央のやや暗く見えている黒点を中心として光り輝いているのがフレアである。

太陽の多様な姿をとらえるにはさまざまな波長の光だけを取り出しで観測する。
上は白色光で見た太陽である。
われわれが普通に見たときにはこの光球面を見ることができる。

こちらはカルシウム原子の出す光だけを取り出してみた太陽面の姿だ。
黒点の周囲に明るい領域、プラージュが見えてくる。

これは水素原子の出す光で見た太陽。暗いスジ模様はフィラメント、周囲よりもやや密度の大きな領域だ。

白色光で拡大してみた太陽黒点の姿だ。磁力線がまっすぐに立つ中心の暗部、
磁力線が周囲に開く半暗部の複雑な姿が見える。

水素原子の出す光でみた拡大画像。まるで磁力線を思わせるようにカーブしたフィラメントの姿が分かる。

これは黒点磁場の解析画像である。これを見るとまさしく黒点は
巨大な磁石の性質を持つことが実感できるだろう。
NSの接するところは磁場中性域。磁力線のつなぎかえにより
磁場の持つエネルギーが部分的に解放されると、フレアが発生する。